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札幌地方裁判所 昭和47年(わ)140号 判決 1972年11月15日

主文

被告人を懲役四月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、賭博罪、常習賭博罪、賭博開張図利罪などにより数回罰金刑、懲役刑(ただし後者は執行猶予)等に処せられたことがあるところ、さらに、常習として、昭和四六年一一月三日の午前九時ころから午前一〇時五〇分ころまでの間、札幌市南六条西八丁目飯間ナツ方において、坂下サトほか四名と共に花札を使用して金銭をかけ、いわゆる「ばかめくり」、俗に「サツポロばか」と称する賭博をしたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

一、判示所為 刑法一八六条一項

(量刑の事由)

被告人は(1)昭和四三年一一月二九日釧路地方裁判所において常習賭博、賭博開張図利罪により懲役一〇月、五年間執行を猶予する旨の判決の言渡を受け(同年一二月一四日確定)、更に(2)同四四年一〇月一五日右同裁判所において常習賭博罪により懲役八月、三年間執行猶予、保護観察に付する旨の判決の言渡を受け(同月三〇日確定)、本件は右(2)の保護観察期間中に犯したもので、しかも現在右(1)の刑の執行猶予中であるので、本件における刑の執行を猶予すべきでないと解せられる(法務省刑事局参事官室、刑法等の一部を改正する法律の解説一の六ー最高裁刑裁資料八二、二四〇頁―参照)。しかし本件は被告人が飯間ナツ方に借金をかえしに行つたところ、顔見知りの者が集まつていたので同人らと共に賭博をしたもので、その賭博の方法は比較的単純であり、その賭博においてはありあわせの白布(着物にアイロンをかけるときに使うもの)、毛布、座布団、花札、ネーム用の札などが使用され、数万円の金員が供されたが、被告人自身は二千円を賭博用の札にかえたのみで、しかもそのうち千五百円位負けたところで警察官に現認されたことなど本件賭博の規模、被告人が加わつた程度および偶発性、その他被告人の前科、身上、家族関係等諸般の事情を総合考慮して、主文のとおり判決する。

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